研究内容

Update 1-MAY-2021

 細胞死はその形態学的、生化学的な特徴からネクローシス(壊死)とアポトーシスに大きく分けられます。抗がん剤はがん細胞に細胞死(アポトーシス、ネクローシス)を起こしますが、そのメカニズムを解き明かすことは新しい抗がん剤開発のヒントになります。また、がん細胞は抗がん剤に様々な仕組みで耐性を獲得します。その仕組みを理解することは新しい抗がん剤の開発に有用な知見を提供します。当研究室は、がん細胞の”死”と抗がん剤への”耐性”の仕組みの理解を通して、新たながん分子標的を見出し、それを標的とする核酸、低分子化合物などによるがん治療法の開発を目指しています。

私たちの身体を構成している細胞において、細胞の死の制御異常は様々な疾患の原因になります。その中で、網膜色素上皮細胞の傷害とその死は、加齢黄斑変性症などの網膜変性疾患を引き起こします。私たちの研究室では、網膜色素上皮細胞の”死”の様式とその機構を理解することで、網膜細胞を保護、又は網膜細胞死を制御する治療戦略の構築を目指しています。

 主な研究手法は、exome sequencing、microarray、RNA sequencing、proteomicsなどのオミクス解析技術を用いた、遺伝子レベル、RNAレベル、タンパク質レベル、non-coding RNAレベルでの網羅的な変異解析、発現解析です。これらオミクス解析から得られたデータは、バイオインフォマティクスの手法を用いて解析し、研究対象分子(標的候補分子)を抽出します。その後、見出した標的候補分子について、生化学・分子生物学的手法を用いて機能解析を行います。このような研究から細胞の”死”またはがんの抗がん剤への”耐性”における標的分子の役割を明らかにして、創薬標的分子としての有用性を検証しています。

主な研究テーマは以下の5つになります。

  1. がん細胞のネクローシスとアポトーシスの細胞死切替え制御機構の解明
  2. がん細胞の抗がん剤耐性機構の解明
  3. 細胞死を制御するノンコーディングRNA (ncRNA)もしくは薬剤耐性関連ncRNAを標的とする新規抗がん核酸医薬の開発
  4. ドラッグリポジショニングによる神経膠腫、膵臓癌などの難治癌に有効な新規抗がん剤の開発
  5. 網膜色素上皮細胞の細胞死機序の解明と細胞死抑制分子の探索

 

search previous next tag category expand menu location phone mail time cart zoom edit close